下妻神社の大ケヤキ Zelkova in Ibaraki
おへそのある木
太い幹が同じ太さで昇りゆく
DATA of TREE
▽樹種:ケヤキ(ヒノキ科・常緑高木)
▽学名:Zelkova serrata
▽樹齢:約500年
▽樹高:約26.5m/幹周り:約8.65m
▽所在地:茨城県下妻市下妻乙80 下妻神社
※市指定天然記念物(1977年指定)
下妻の市街地の北西に位置する下妻神社。小さな神社の赤い鳥居をくぐるとドーン。大きなケヤキが2本そびえています。とくに注目したいのが、拝殿に向かって右側のおへそがあるケヤキです。
【木の特徴】
どっしりと根を張って立つ大きなケヤキ。根元から幹の上、枝分かれする部分まで、同じ太さで上っていく、堂々たる姿です。その太い幹から、ぼこっと出ているのはおへそ!? 丸いコブが"おへそ"のような、"目"のような。このケヤキが意志をもって生きているような感覚にとらわれます。絵本の中で大きな木が話すシーン。この木ならあり得るかも、、、。推定樹齢は約500年。樹冠には少し枯れ枝があったり、幹にはウロができていたり、長い歳月を経てきたことがわかります。それでも、空へと伸びる枝張りはかなりのもので、市街地に立つケヤキとは思えないほど勢いのある木です。
★この木を見るポイント⇒ 地上2メートルほどのところにおへそがある。木の根元には大黒さまがいらっしゃいます。
【歴史を伝える】
説明版によると、下妻神社は素戔嗚命(スサノオノミコト)ほか八柱の命を祭る神社で、創立年代は不詳です。一説には、下妻城主、多賀谷重経(たがや・しげつね1558-1618)が牛頭天王を勧請して建立したと伝えられ、地元では「天王様」と呼ばれ信仰された神社。正徳年間(1711年~1715年)下妻藩主の井上正長が城廻村(現在の下妻市下妻乙)の守護神とし、社殿を再建したと伝わります。明治時代になると近隣の複数の神社が合祀されて、下妻神社となりました。
小さな境内に大きなケヤキが2本。「神社が先か、木が先か?」という課題を思い出す場所です。もしかすると、昔は祠もなかったかもしれない。最初、大きな木だけが立っていて、その木に手を合わせた人々の願いが叶うことが時々あった。例えば、病気が治った、良いご縁があった、出世したetc.そのために信頼され、愛され、ご神木として崇拝されるようになったのではないか。木にお供えをする人が現れ、小さな祠ができ、鳥居ができ、社殿ができていった・・・。あくまで私の想像ですが、ここはご神木が最初の神社、ではなかったでしょうか。
【この木に会いに行こう!】
関東鉄道常総線「下妻」駅から1.1キロ。近辺には関東最古の八幡宮・大宝八幡宮、宗任(むねとう)神社などもありますので、車で神社めぐりをするのがおすすめです。また、2004年公開の映画『下妻物語』(主演:深田恭子、土屋アンナ)のロケ地めぐりもいいね。
(2015年9月3日撮影)